ネコちゃんの慢性腎不全と向き合うために

シニアのネコちゃんで一番多い病気といえば、「慢性腎不全」。

この病気は、完治が難しい反面、早めに気づいてあげることで、より穏やかに、より長く一緒に過ごすことができます。

今回は、ネコちゃんの慢性腎不全について、日々のケアや病院でのサポートについてお話しします。

慢性腎不全ってどんな病気?

「腎臓」は、体の老廃物をろ過し、尿として排出する重要な臓器です。

慢性腎不全は、この腎臓の働きが徐々に落ちていく病気で、高齢の猫ほど発症しやすくなります。

10歳を過ぎたあたりから少しずつリスクが高まり、15歳以上のネコちゃんでは、半数近くが何らかの腎機能低下を抱えているというデータもあります。

飼い主さんが気づける初期サイン

ネコちゃんは不調を隠す動物なので、腎臓の異常にもなかなか気づきにくいことがあります。

ですが、以下のような変化は初期サインの可能性があります。

  • 水をよく飲むようになった(飲水量の増加)
  • おしっこの量が増えた(薄い色の尿)
  • 食欲が落ちてきた
  • 毛づやが悪くなってきた
  • 体重が少しずつ減っている
  • なんとなく元気がない、寝ている時間が増えた
  • 嘔吐が増えた(とくに空腹時の泡吐きなど)

これらは「年のせいかも」と見過ごされがちですが、腎不全のサインである可能性もあります。

病院での診断と治療

慢性腎不全の診断には、血液検査と尿検査が行われます。

特に「BUN」「クレアチニン」という数値で腎機能の状態をチェックします。

治療は「完治」ではなく「進行を遅らせる」ことが目的です。

一般的な治療には以下のようなものがあります。

  • 腎臓サポート食への切り替え
  • 輸液(皮下補液)による水分補給
  • 血圧管理(高血圧を伴う場合)
  • リン吸着剤や活性炭などの投薬
  • 定期的な血液検査での経過観察

病気のステージや猫の性格・体調にあわせて、治療の内容は調整されます。

ご家庭でできるサポート

治療と同じくらい大切なのが、ご家庭でのケアです。

以下のポイントを特に意識していただけたらと思います。

1. 水をたくさん飲める環境づくり

新鮮なお水を複数の場所に用意してあげましょう。

ネコちゃん用の自動給水器を使うのも効果的です。

2. 食事の工夫

療法食は効果がある反面、好みに合わないこともあります。

初めは少量から混ぜて慣らしたり、ぬるま湯で香りを立たせると食いつきが良くなることもあります。

3. ストレスを減らす

体調が不安定になると、いつもより繊細になる子もいます。

環境の変化を避けて、静かで安心できる場所を確保してあげましょう。

4. 体調の変化をこまめに記録する

食欲・尿量・体重・元気の有無などを日々メモしておくと、受診時に役立ちます。

最後に

慢性腎不全という言葉に、初めて聞いたときは戸惑いや不安を感じるかもしれません。

この病気と向き合うには、「知ること」と「気づいてあげること」が何よりの力になります。

ネコちゃんとの穏やかな暮らしが、これからもゆっくりと続きますように。

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